片手剣道家が語る義手と復活の物語

剣道

「もしあなたが大切なものを突然失ったら、どう生きますか?」

私は30歳で右手を切断しました。
小学2年から剣道を続けてきた私にとって、
それは人生の土台が崩れる出来事でした。
しかし、家族や教え子の支え、
そして剣道への情熱が私を救ってくれました。
今、私は義手を使い、中段の構えで剣道を続けています。
世界でただ一人の「義手の中段剣道家」として。

このブログでは、私の体験とともに、「失っても前に進む力」についてお伝えします。


剣道に魅せられた少年時代

岡山県で生まれ育った私は、小学2年生の時、
地域の道場に通い始めました。
最初は近所のお兄ちゃんに勧められて始めた剣道でしたが、
竹刀を握り、防具を身につけて打ち合うたびに、
心が熱くなっていきました。礼儀を重んじる武道の世界が、
少年の私にとってとても新鮮だったのです。

中学・高校でも続けた日々

そのまま剣道にのめり込んだ私は、中学でも部活動で剣道を続け、
高校では中国地方大会にも個人で出場するなど、努力を重ねてきました。
勝ちたいという気持ち以上に、
もっと強くなりたい
剣道の奥深さを学びたい
という思いが常に心の中心にありました。


鹿児島の強豪大学でさらに高みへ

高校卒業後、大学受験に失敗。
悔しさの中、浪人を決意しました。
1年後、剣道部の強豪として知られる鹿児島の大学に合格。
そこから再び竹刀を握る日々が始まりました。
全国から集まった猛者たちとの稽古は、
私の技術も精神も大きく成長させてくれました。
勝負に勝つことだけではない、
剣道とは何か
という問いに、日々向き合っていたのです。


就職後、アキレス腱断裂からの試練

大学を卒業後、地元・岡山の企業に就職。
仕事に慣れない中でも、剣道の稽古は欠かさず続けていました。
ところが、入社1年目のある日、稽古中にアキレス腱を断裂
突然、身体が動かなくなったのです。当時は剣道どころか、
歩くことすらままならない日々が続きました。
やっと社会人としてスタートを切った矢先の出来事に、
心が折れそうになりました。

指導者として復帰

リハビリを経て、ようやく日常生活を取り戻した頃、
職場近くの道場に見学に行き「指導に来てほしい」と
声をかけられました。自分がかつて学んだ剣道を、
次の世代に伝える。それが新たな剣道との向き合い方でした。

選手としてではなく、指導者として。
剣道が再び私の人生の中心に戻ってきたのです。


30歳で右手切断という現実

その後、私は新たな仕事に挑戦するため転職しました。
しかし、わずか4ヶ月後、不運な事故により右手を切断
利き手であり、剣道において命のような存在だった右手を、
突然失うことになりました。

絶望の中で、
もう剣道はできない
生きていても意味がない
と考えた時期もありました。

支えがくれた再起の力

そんな私を救ってくれたのは、
家族、そして教え子たちの存在でした。
先生がいたから頑張れた
また一緒に稽古したい
と語る子どもたちの言葉が、私の心に火をつけました。

「もう一度、剣道をやろう」と決めた瞬間から、
第二の人生が始まったのです。


義手で貫く中段、世界でただ一人の挑戦

私は義手を作ることを決意しました。
ただ、既存の義手では剣道の動作には対応できません。
試行錯誤の末、竹刀をしっかりと支える機構を取り入れた
カスタム義手を製作
再び中段の構えで立てるようになったのです。

片手で中段を取り、竹刀を構える。
これを実現しているのは、私一人です

片手剣道の意義とは

片手で戦うことは不利かもしれません。
でも、剣道の本質は「心・技・体」にあります。
相手を打ち負かすためだけでなく、自分と向き合い続ける武道。
だからこそ、義手でも、片手でも、剣道はできるのです。


剣道がくれた「生き直す力」

私が経験したような喪失や挫折は、誰にでも起こり得ます。
健康、仕事、大切な人。
何かを失った時、人は無力さを痛感します。
でも、
失っても、立ち上がることはできる
それを私は剣道から教わりました。


今あなたに伝えたいこと

何かを失っても、それが終わりではありません。
義手でも中段に立てた私が証明です。
大切なのは
諦めないこ
支えを受け入れること
自分を信じること」です。

あなたにも、きっと立ち上がれる理由があります。


行動のきっかけ:自分の道を信じて進もう

今、苦しみの中にいる人へ。

立ち止まっても大丈夫。
でも、どうか歩みを止めないでください。
たとえ歩幅が小さくても、前に進めば景色は変わります。

私もまだ挑戦の途中です。
もしよければ、これからの私の歩みを一緒に見届けてください。


このブログを通して、誰かの「再出発」の力になれることを願っています。

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